2018年10月20日土曜日

最近考えていること、10月。それと公演のお知らせ。

久しぶりにダンスの公演に出して頂くことになり、準備をしています。

今回の企画は中村蓉ちゃんが総合演出で、3つの作品を主軸に企画された公演です。私は2度目の再演となる『譚々』という作品と、その他賑やかしで踊らせてもらいます。



今回作品を再演できるよう運んでくれた蓉ちゃんとの付き合いは長く、かれこれ10年近くになります。

彼女が大学3年?のときに初めて舞台で踊っている姿を見て、細い棒のような蓉ちゃんのまっすぐで真摯な踊り方がとても素敵で素直に感動しました。
今でもあの画は覚えていますし、その当時、同年代のダンサーの子の踊りに対して感じたことのない感覚だったことを覚えています。


それから蓉ちゃんは横浜ダンスコレクションで賞ももらって、国内外でダンスの仕事をたくさんこなす名実ともにコンテポラリーダンスシーンで一目置かれる存在となりました。
一緒の舞台に立つこともあったし、彼女の作品に出してもらうこともありました。

彼女はとても周りをよく見ているし、気遣いが上手でなんでも受け入れてくれる。
選り好みするのではなく全てをひっくるめて彼女自身の理想との折り合いをつけるために足掻いている、というか戦ってる。
戦士だと思っている。


昨年、そんな蓉ちゃんのソロダンスを客席で見た私は、彼女がそれまでに戦ってきたものや乗り越えてきたものをこれでもかと受け取りすぎてしまったのか、1時間近くあった作品だったでしょうか、後半は息ができないほど泣いておりました。
自分でもちょっと引くくらいでした笑

私が蓉ちゃんとの距離感が近いからこそ心動いたのは否定できませんが、
その身内感情を抜きにしても、彼女の身体と観客の自分の間で巻き起こったダンスが自分の身体と感情を大きく揺さぶったのは冗談抜きで間違いありません。


_______

私たちが取り組んでいるコンテンポラリーダンスというものは、最も言葉で言い表すのが難しく、何が良くて、何が悪いのかの基準すら曖昧になっている部分も多くあります。

それでも、コンテンポラリー、この時代に生きて今ここで踊る人間の、立脚した存在そのものと、その身体から発せられる、なんて言ったらいいのでしょうか、エネルギーというか、揺らめきというか、発光というか、色香というか
自分の内側も全部さらけ出した人間の滑稽さと切実さとこの上ないかっこよさ。
非常にダセーし痛いんだけど、なぜかかっこよくなるんだよ、どこかのタイミングで。



何を思ってくねくね動いてるのかわからんけど、なんか見ちゃう。
なんか見ちゃうし、なんだったらその動きが純粋で綺麗だとなんか涙がでちゃう。

といった感じだと思うし、それくらいでいいのではないかと思います。
長い間ダンスのこと考えすぎて、それくらい阿呆な答えになってきました。
かっこいい言葉で語ることもできますが、かっこいい言葉はかっこいい言葉であってダンスではないことも多いので…


それでも間違いなく言えることは、そのダンスを受け取ってもらうために観客の人たちにも”身体”が必要だということです。
“身体”があるから、ダンスが解るのだと思います。
身体と身体が交信というのでしょうか、ノンバーバルというか、共感というか。

身体で起こっていることはやはり身体で受け取ってもらうべきだと思います。
これが、ダンスを上演する理由の一つだと思っています。



受け取る側の身体のあり方というものは、これから先にもっともっと切実で重要な問題になってくると思います。

観客の在り方を問うという問題はどんどん切実に鳴ってきているし、なんとなくそういう手法は流行ってきてるなぁ、と。
例えば…大きいので言えばチームラボの例のやつとか。
何が体験されるのか。大きな物語のおこぼれが分与されるのではなく、個人の中での物語の大きさが重要になっていくように思います。

だって、この世界では誰もが主人公なんですもの。良い意味でも、悪い意味でも。
だからこそ、表現の受け手となる身体=観客をどう創造するかが問題だと思うし、
それが私がヨガやバレエなど身体の使い方を教える仕事をしている理由の一つでもあります。



一方、残酷ですが、本物というものはあまり数は多くないと思います。
せつないけれど、なんかそんな気がしています。
本当に素晴らしいもの、そしてそれを十二分に受け取ることのできる身体で居合わせられる奇跡にも近い状況は、そう頻繁に訪れるものではないと思ったりします。

というより、本当に素晴らしいものは、こちらの身体の状態を一振りで塗り替えるくらいの威力を持っていると、自分の経験則でしかありませんが、思っています。
そう思えるいくつかの表現に出会えた自分は、幸運だと思っています。


私の場合はかなり長期戦で取り組んでおりますが、
いつか自分もそういう表現をすることができたらいいなと、心から思います。



______

さて、そんなことを書いてから宣伝するのもとても恥ずかしいのですが、
上記公演の詳細です。

今の私の踊れる全部をちゃんとお見せしたいと思っています。
ぜひご覧いただきたく思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(なんか相変わらず重たいよねー、私は。
もっと軽やかにしたいものだわ全く。)

***

【11月公演情報 総合演出:中村蓉《魅惑のダンス会》】
2018年11月3-4日
セッションハウスにてダンスブリッジ企画
《魅惑のダンス会》開催致します。
作品の内容だけじゃなく、その"伝え方"も考察&実践するのが今回の企画です。

ポイント①
ぜひ開場中(開演30分前)からいらして下さい!セッションハウスのあんな場所こんな場所でパフォーマンスが始まっています。

ポイント②
伊藤麻希作品・悪童(中村駿&歌川翔太)作品がセッションハウスに合わせてリニューアル!
作品を更に楽しむ&紐解く豆知識もお伝えします!

ポイント③
中村蓉&五十嵐結也、新作デュオ発表!今夏ドイツを賑わせた2人が ほっかむりもふんどしも脱ぎ、向き合います。コロコロと軽やかに生きる女の人の艶やかさを踊ります。何故イガちゃんなのか!?でも、彼しか無い。

【本編上演作品】
『譚々』
出演:伊藤麻希  演奏:織本卓  照明プラン:伊藤侑貴
『古き悪き慢性固執シンドローム-セッションハウス編』
出演:中村駿・歌川翔太
『あしゅら(仮)』
出演:五十嵐結也・中村蓉
演奏:金井隆之・長谷川紗綾

【日程】
2018年
11月3日(土)開場18:30→開演19:00
11月4日(日)開場13:30→開演14:00/開場17:30→開演18:00
【料金】
前売一般 3,000円 前売学生 2,500円
前売子供 1,500円 当日券+500円
【場所】
神楽坂セッションハウス
東京都新宿区矢来町158
03-3266-0461
【チケットご予約】
3つのうち、いずれかの方法でご予約ください!
①セッションハウスの予約フォームに記入
http://www.session-house.net/reserve.html
②出演者に直接ご連絡

セッションハウスホームページより詳細
http://www.session-house.net/dancebridge3.html

セッションハウス、再発見。
あの手この手でWelcome!!
お待ちしております!!!