2014年3月17日月曜日

allele 3回目にむけて、最近のこと

日増しに春が近づいてきていますね。

ベランダに放置していたボケの苗木も、もう枯れてしまったのではないかという心配をよそに新芽と蕾をつけていて、暖房器具の貧しい私の部屋にもいよいよ新しい季節が足を伸ばしています。

allele3回目の本番に向けて稽古をしています。
何を思ったか、かっ飛ばして月に一回公演をしてみましたが、今回で一応一区切りです。
前2回にやったことを含め、3回目は集大成の公演になるようにしたいと思っています、とはいえやはり新作になっているのだけど。

今後も半年から一年に一本は作品作っていきたいなあと思っているところです。

最近のことや稽古で考えていることも含め、少し長くなりそうだけど書き記しておきたいと思います。


今回の公演の大きな目標は、自分の生活を作るところにありました。
単純に言えば仕事と稽古をやりくりすること。

ダンスは、自分の身体を使ってするものです。極論を言えば、生きていけなければ踊れないのです。生きることが、踊ることとってなによりも必要なのです。人生のやりくりも、少なからず自分のダンスを創る要素です。
ピナの言葉を借りるのであれば、「私は私の人生を踊っている」、自分がどう生きるかということも、ダンスにすべて表れると思います。

だからといって別に、センセーショナルでスキャンダラスな、人目を引く生活をしなければならないとは思っていないけれど、自分のやりたいことをするという自分に対する誠実さを通すために頭を捻っているところです。

正直、結構大変です。まぁ楽だったらつまらないので、よいのですが。
現段階ではぎりぎり、足りてない感じですね時間もお金も(!)。やる気だけはあるってことは身に染みて感じます。


それから、作品のこと。

この作品はなによりも、バッハのトッカータという曲がなければ生まれなかった作品です。
トッカータとは、即興曲という意味で名付けられているもので、バッハのみならずたくさんの作曲家がトッカータという形式の作品を残しています。
バッハのトッカータは、通し番号BWV910番から916番まで、7つの小作品があります。

一回目からずっと使っている915番。
この曲との出会いはコンサートホールでの仕事中、ピアノコンチェルトの後のソリストアンコールでとあるピアニストがこの曲を演奏したのを耳にしたのがきっかけでした。
それまでこの曲は知らなかったのですが、曲が始まってすぐに引き込まれえらく感動し、仕事後にすぐ調べた覚えがあります。
美しく折り重なる複雑なメロディは一音一音や和音が美しいというよりも、前の音今の音次の音と連なることでうねるような動きがあって引き込まれます。この曲で、というより、この曲のように踊りたいと心から思いました、制服で仕事中に(こういうことがたまにあるからあの仕事辞められない)。

ピアノという、限られた数の鍵盤から数えきれないほどの曲が生まれることは本当にすごいことだと常々感心します。ピアノに限らず、どんな楽器においてもいえることだと思いますが。
どの音を選ぶか、どのようにメロディを形つくるか、一音一音の選択が無限の可能性を持っていることの偉大さを身に染みて感じます、ダンスもまた同じだと思うからです。

さらに言えば、私はソロで踊るときは一つの楽器で演奏される曲が好きなのですが、その理由として楽器が自分の身体でありダンスが音楽であるという聴き方が一番心地よいということがあります。この聴き方がベストかどうかはまだわかりませんが、現段階ではそういう感触があります。
演奏者に思いを寄せ音楽に自分の身体を添わせて動けるときはぞくぞくして、鳥肌が止まりません。まさに自分がこの音楽と踊っていることの実感を得られる気がします。


それから、テーマのこと。

ダンスを作品として形にまとめるとき、内容やテーマといった「伝えたいこと」の存在がいつも頭を過ります。過りますし、作品としてそういうものが必要であることは十分に承知しています。
しかしながら、いまだテーマというものを当たり前に設定することに踏み出せない自分がいます。きっとこの先もずっと悩むポイントだと思います。

これまであまり疑うこともなくテーマから作品を作るということをさんざんしてきて、うまく出来ていた気がしないし違和感がぬぐえなかったのが原因です。テーマとして設定する言葉とダンスの間にどうしても乖離がある、それは私が言葉によるイメージを十分に省察していないことによるのかもしれません。もしくはダンスの方に余分なものがくっついているのか。

しかしここ最近私のダンスで面白いのは、踊る私の考えていることがそのままお客さんに伝わっているということです。
こちらは45分くらい自分の集中力を切らさないということを一番の目標に掲げているのですが、非常にクリアに私の精神状態がそのままお客さんに伝わっているようです。
「頑張ってるね」ってよく言われます。まさに頑張ってるので間違いではないです。


そんな中ぼんやりと、今回のalleleという作品のテーマは何かと言われて浮かぶのは「私は踊りたい、踊るためにどうしたらいいか」というなんというかテーマなのかよく分からないようなことです。
伝えたいことは、「私踊ってるよ!」ということです。

そのためにも、数ある可能性の中から1つを「選ぶ」ということが重要です。
限られた数の鍵盤から1つの音を選ぶように、一つの選択が先の選択肢を生み、枝分かれしていく様子。
alleleという言葉は生物学の用語で、意味は「対立性遺伝子」です。

あまり大仰なテーマを設定せず、今かすかに思うことを少しだけ。
タイトルのalleleって、アレルって呼んでます(ほかにアレレとかアリールとか読むらしい)。かわいいでしょ、名前みたいなものよ。


昨日とあるパーチーで、ダンスの評論家に言葉を扱うことの重要さをとくと語られました。
そのせいなのか、久しぶりに長く文章を書いてみようと思いつきましたが、長くなる一方なのでこの辺で。
自分のダンスについて話せと言われれば正直一晩明かすくらい言いたいことはいろいろあります。

今日稽古しながら思ったことは、話すように踊りたい、ということでした。
弾む会話のように、連なってあふれるイメージのように、言葉にして表すこともしないことも、そこに隠れる思いやりや感情も、なにより、独り言ではなく自分が話す人でもあり聞く人でもあるということ、相手がいるということ、すべてひっくるめて。


おっといけない、宣伝するのを忘れるところだった。
allele、ラスト3回目の公演は
3/26(水)20:00開演(19:40開場予定)
@明大前 KID AILACK ART HALL
前売・当日共に1500円、2回目3回目の方は1200円。
予約はmaakiitoo@gmail.com

どうぞよろしくお願いいたします。


南向きの窓から差し込む春の日差しに騙されて、薄着で外出してしまいがち。
体調など崩さぬよう、お気をつけて。

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